「新会計への移行」は意外と簡単!
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移行処理のプロセスは次の通りです。
@ 流動資産・流動負債は新会計にそのまま移行する。 A 旧会計の引当金は積立金に移行する。 B 減価償却をした固定資産を設定する。 (らくらく固定資産台帳を活用すると便利)
C 基本金を設定する。設定が難しい場合は特例も用意されている。(社援施第8号) D 国庫補助金を設定する。設定が難しい場合は特例も用意されている。(社援施第8号) E 上記@〜Dの貸借合計の差額を次期繰越活動収支差額に計上する。
上記の順序で処理していけば意外と簡単です。
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Q 何かよい参考資料は?
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会計基準による移行処理に関する公文書は社援施第8号であり、関連文書として社援施第9号があります。。また、これらを具体的に解説した図書として、「解説社会福祉法人会計(全国社会福祉講義会)」のP121〜P133などもあります。
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Q 基本的な移行モデルを知りたい。
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旧会計での3月31日の貸借対照表
借 方 |
貸 方 |
現金 |
50,000 |
未払金 |
150,000 |
預金 |
4,000,000 |
人件費引当金 |
5,000,000 |
未収入金 |
100,000 |
備品等購入引当金 |
2,000,000 |
建物(基本財産) |
10,000,000 |
経常資金借入金(長期) |
3,000,000 |
土地(基本財産) |
15,000,000 |
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固定資産物品 |
5,000,000 |
基本財産基金 |
25,000,000 |
その他の固定資産 |
7,000,000 |
運用財産基金 |
5,000,000 |
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固定負債積立金△ |
-3,000,000 |
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前期繰越金 |
3,000,000 |
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当期繰越金 |
1,000,000 |
合計 |
41,150,000 |
合計 |
41,150,000 |
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単純に移行できる科目
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流動資産・流動負債及び長期借入金などはそのまま、新会計に移行できます。 旧会計にあった固定負債積立金△は貸借対照表の調整勘定でありましたので、この科目は 新会計では無くなります。
新会計基準の貸借対照表
借 方 |
貸 方 |
流動資産 現金預金 現金 預金 未収入金
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50,000 4,000000 100,000
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流動負債 未払金
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150,000 |
固定負債 経常資金借入金(長期) |
3,000,000 |
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引当金の移行
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旧会計で負債科目であった人件費引当金・修繕費引当金・備品等購入引当金は新会計では純資産である積立金に移行しました。また、それに伴い、その他の固定資産であった特定預金は「措置施設繰越特定預金」に変わります。
新会計基準の貸借対照表
借 方 |
貸 方 |
流動資産 現金預金 現金 預金 未収入金
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50,000 4,000000 100,000
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流動負債 未払金
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150,000 |
固定負債 経常資金借入金(長期) |
3,000,000 |
固定資産 措置施設繰越特定預金 人件費積立預金 備品購入等積立預金 |
5,000,000 2,000,000 |
積立金 人件費積立金 備品等購入積立金
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5,000,000 2,000,000
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(注釈) 旧会計で使われていた人件費引当金、修繕費引当金、備品購入引当金は、将来発生するものでありますが、何れも当期の期間経費ではありません。そのため、新会計では当期繰越収支差額を決定した後の、利益処分としての扱い(積立金)に変わりました。引当金⇒積立金
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固定資産
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・ 土地は減価償却が無いので、そのまま新会計に移行します。 土地 15,000,000 ・ 減価償却が必要な固定資産は、「らくらく固定資産台帳」で別途計算した金額を設定します。 残価額が次の金額であったとします。 建物 6,000,000 車両運搬具 500,000 器具及び備品 1,000,000
借 方 |
貸 方 |
流動資産 現金預金 現金 預金 未収入金
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50,000 4,000000 100,000
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流動負債 未払金
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150,000 |
固定負債 経常資金借入金(長期) |
3,000,000 |
固定資産 措置施設繰越特定預金 人件費積立預金 備品購入等積立預金 |
5,000,000 2,000,000 |
積立金 人件費積立金 備品等購入積立金
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5,000,000 2,000,000
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基本財産 建物 土地
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6,000,000 15,000,000
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その他の固定資産 車輌運搬具 器具及び備品 |
500,000 1,000,000
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基本金・国庫補助金等特別積立金の設定
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@ 基本金は次のように定義されています。 第1号基本金は、基本財産等を取得するための寄付金です。 第2号基本金は、上記の取得に係わる借入金の元本返済のための寄付金です。 第3号基本金は、法人設立時に運転資金として受けた寄付金です。 第4号基本金は、繰越活動収支差額の一部を基本金に組み入れた額で、 一般には今後発生する基本金です。 A 国庫補助金等特別積立金は、取崩累計額を引いた現在残価額になります。 現在残価額は、「らくらく固定資産台帳」から簡単に求まります。 この積立金には、国・地方公共団体の他に、オートレース・競馬等の民間補助金も含まれ、 共同募金は含まれない、と説明(行政より)されています。
上記@Aより、計算された金額を設定します。
借 方 |
貸 方 |
流動資産 現金預金 現金 預金 未収入金
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50,000 4,000000 100,000
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流動負債 未払金
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150,000 |
固定負債 経常資金借入金(長期) |
3,000,000 |
固定資産 措置施設繰越特定預金 人件費積立預金 備品購入等積立預金 |
5,000,000 2,000,000 |
積立金 人件費積立金 備品等購入積立金
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5,000,000 2,000,000
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基本財産 建物 土地
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6,000,000 15,000,000
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その他の固定資産 車輌運搬具 器具及び備品 |
500,000 1,000,000
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第1号基本金 第2号基本金 第3号基本金 国庫補助均等特別積立金
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18,700,000 2,000,000 1,500,000 800,000
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最後に次期繰越活動収支差額を決定して完了!
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・ 借方合計と貸方合計を計算して、その差額が次期繰越活動収支差額になります。
次期繰越活動収支差額 = 33,650,000-33,150,000
借 方 |
貸 方 |
流動資産 現金預金 現金 預金 未収入金
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50,000 4,000,000 100,000
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流動負債 未払金
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150,000
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固定負債 経常資金借入金(長期)
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3,000,000
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固定資産 基本財産 建物 土地 その他の固定資産 車輌運搬具 器具及び備品 措置施設繰越特定預金 人件費積立預金 備品購入等積立預金
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6,000,000 15,000,000
500,000 1,000,000
5,000,000 2,000,000
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基本金 第1号基本金 第2号基本金 第3号基本金
国庫補助金等特別積立金 国庫補助金等特別積立金
その他の積立金 人件費積立金 備品等購入積立金
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18,700,000 2,000,000 1,500,000
800,000
5,000,000 2,000,000
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次期繰越活動収支差額 次期繰越活動収支差額
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500,000
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借方合計 |
33,650,000
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貸方合計 |
33,650,000 |
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以上の処理で、開始貸借対照表が作成できます。 |
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