これらなわかる「複式簿記」の仕組み


単式簿記と複式簿記の決定的な違いは?

今月は、給与による収入が30万円と借入金による収入が20万円ありました。

  • 家計簿(単式簿記)をつけているAさんは、40万円を生活費に使っても財布にはまだ10万円残ると考えて、40万円を生活費に使いました。



  • 複式簿記の仕組みを知っているBさんは、借入金は負債なので、生活費には28万円しか使いませんでした。



  • この違いこそが、単式簿記と複式簿記の考え方の決定的な違です。もちろん、上記例のように単純明快であれば「まだ10万円の残っている」等のノー天気な判断は無いと思いますが、収入や支出が複雑多岐になってくると、この違いは歴然としてきます。


【参考書籍】
 初めての方にわかりやすい本です。
  個人事業者のための帳簿のつけ方
  遠山秀貴著 ぱる出版


税務での単式簿記と複式簿記の違いは?

  • 単式簿記で会計処理をして現金出納帳を持っていくと、
    税務署では・・・「では、こちらで利益計算しましょうね。」といわれました。


  • 複式簿記で会計処理を行なって次の書類を提出すると、
    税務署では・・・「はい、わかりました。この利益から特別控除を行って課税しますね。」



  • 税額の計算は、一見単式簿記のほうが簡単で楽そうに思えますが、複式簿記で税務会計を行うと次のような大きな特典が得られます。


    注)単式簿記ではこのような特典はほとんどありません。


  • このような特典が得られるには



    であるためです。


不正な経理が出来ない仕組みについて

  • 事業を行うと、時々税務調査が入ることがあります。その際に税務署が知りたいことは、次の2点です。

    @は意図的でない限り計算ミス、転記ミス等誰でも起こり得ることですので、通常は修正申告で解決します。
    Aは、悪質な脱税行為と見なされて、重加算税等が待ち受けています。

  • 複式簿記では、Aの問題が簡単に把握出来る仕組みがあります。
    貸借対照表に表示される資産・負債は過去からの連続性がありますので、勝手に都合よく金額を変えることが出来ません。(変えれば次のように不一致になります。)



  • このように、不正経理が難しい仕組みが複式簿記にありますので、複式簿記で会計処理を行なうと、高い信頼性が保証されそのため多くの特典が与えられます。
    これに対して、単式簿記では当年度の収入と支出の把握のみでありますので、このような仕組みがありません。
【参考】
 税務調査・査察についてもっと詳しく知りたい方は「マルサの女」シリーズのDVDを見てください。


複式簿記は決して難しくありません。

  • 複式簿記は難しいから・・・とよく言われますが、それは誤解です。
    単式簿記でも複式簿記でも次の例で示すように仕訳はまったく同じです。ただ、複式簿記は仕訳を行った後の会計処理が面倒なだけです。
    この面倒な部分は「らくらく複式簿記」が受け持ちますので、単式簿記となんら変わらず複式簿記が実現します。

  • 単式簿記と複式簿記の仕訳はただ次の一点の違いのみです。
    単式簿記では、金額を左右に振分けます。
    科    目 収入金額 支出金額 摘              要
    売上 50,000 今日の売上
    仕入 30,000 材料費の仕入
    交通費 2,000 配達交通費

    複式簿記では科目を左右に振分けます。
    借    方 貸    方 金   額 摘             要
    現金 売上 50,000 今日の売上
    仕入 現金 30,000 材料費の仕入
    交通費 現金 2,000 配達交通費


  • 収入が発生した場合、単式簿記では、金額を左側に書きますが、複式簿記では現金を左側に書き、その発生原因(売上)を右側に書きます。
  • 支出の場合はこの逆に現金を右側に書き、発生原因(仕入・経費)を左側に書きます。

    この処理を行なうと、後は「らくらく複式簿記」が面倒な計算や各種の転記作業はすべてプログラムが行います。
    また、間違いに気付いたら伝票を修正するだけで関連するすべてのデータは更新されます。

  • 重要なポイントはこの一点のみです。



    この「現金」を預金・売掛金などに置き換えていくと、ほとんどの取引が複式簿記の仕訳で出来ることになります。